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アニメ制作者の実態調査でリアルな声「アニメ制作本数が多い」「技術力の低下」「いつ死んでもおかしくない」

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一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が公開したアニメ制作者の仕事や生活を調べた「アニメーション制作者実態調査2019」。

 

http://www.janica.jp/survey/survey2019Report.pdf

 

今回はこの調査結果から見えたことをまとめておこう。

 

 

 

アニメ制作者の年収は440万円

 

驚くことに2017年の年間収入の平均値は約440万円だった。

 

中央値は370万円で、平均年齢は39歳。

 

dodaエージェントサービスの調査によると39歳の平均年収は494万円とのことで、比べると低い結果となっているが、いわゆるブラック企業の低賃金という印象は受けない。

 

 

しかし、これはある意味当然の結果でもある。

 

今回調査した人の中には役員が11人含まれており、年収600万越えの人は19%いる。

 

そしてその最大値は年収1500万円。

 

 

アニメ制作で度々問題視されるには動画を描く人たちであり、

 

今回の結果を見て「なんだ意外ともらってるな」と思ってはいけない。

 

問題は動画マン

 

今回の実態調査や、以前行われた調査の比較をしているアニメーター実態調査2019ではアニメ制作者の職種別年収が掲載されている。 

 

それによると、動画の平均年収は125万円。平均年齢も27歳と他の職種に比べて一番若い結果となっている。

 

アニメーター実態調査2019

http://www.soumu.go.jp/main_content/000618122.pdf

 

アニメ制作者の半分がフリーランス

 

就業形態の調査では、フリーランスが50%、自営業と答えたのが19%。

 

合わせると7割近い人が会社に属さず、独立した働き方をしている。

 

これに契約社員6%を含めた289名に拘束形態を聞くと、

 

完全拘束26%、半拘束25.6%、拘束なし43.9%となった。

 

完全拘束で正社員になれないのはやはり辛いところである。

 

7割近い人が独立した雇用形態だが、

 

就業場所の調査では68%の人が制作会社と回答、自宅は27%と低い。

 

平均作業時間は9時間

 

平均作業時間の平均値は9時間。中央値最頻値ともに10時間となった。

 

ちなみに最大値は18時間とかなりのブラックだが大丈夫だろうか。

 

 

アニメ制作者の生の声

 

実態調査の後半には「アニメーション制作者の多声性」として、アニメ制作者の生の声がそのまま掲載されている。

 

その中から気になった言葉を抜粋。

 

"アニメの制作本数が多すぎる"と常々感じています。(中略)ただでさえ少ない時間・資金・人手が作品の乱立によって分散され、業界内だけでなく社内ですら人手の奪い合いになり、お客を奪い合い、とても効率が悪いと思います。

[女.30代.作画監督]

 

我が社では、中堅アニメーターが今年だけで4人辞めていきました。自分もやってみたいこと、挑戦したいこと、色々あったはずですが、絵描き・作品のトップにあたるであろうキャラクターデザインを担当したところで、給料の限界を知ってしまいました。転職することも既に検討している段階なので色々あきらめてます。

[女.30代.版権]

 

2013年頃より、元請け制作能力の無い元請け制作会社の乱立が目立ってきた。

[女.40代.作画監督]

 

2018年の新卒として動画をしています。働く前は色々と厳しいような話しを聞いていて、実際働くと収入面はもちろん厳しいのですが自分が思いの外食いついていけているのでとても仕事が楽しいです。(中略)動画の単価がとにかく低いと思います。多少ばらつきはあって高い単価の仕事も貰ってはいます。

[女.20代.動画]

 

TVシリーズのアニメーションの原画の仕事を単価で受けて一人で生活するのは不可能。

[女.30代.原画]

 

アニメーションは、如何なる表現も可能な媒体であるはずなのに今の日本のTVアニメは極端に作品の方向性(ジャンル?)が狭すぎる。真面目に語る作品程売れないというのが悲しい。

[男.50代.絵コンテ]

 

アニメーターの技術力低下が甚だしい。若い人間が育たない事から、一部の才能のあるアニメーターに負担が集中しているように思います。

[男.40代.監督]

 

アニメーターの正社員雇用の促進及び、育成が急務。このままだと日本のアニメ業界はクオリティーが低下し続ける一方。

[男.30代.監督]

 

ひとまず動画でも人並みの生活を送れるようになりたいです。

[男.20代.動画]

 

原画単位が倍の1万円になってくれれば、貯金もできる普通に生活が出来るのになとよく思います。

[女.20代.原画]

 

デジタル動検なのですが、動検セクション時にはスケジュールが全然なくなっていて寝るひまがないし代休もなかなか取れないです。本気でいつ死んでもおかしくないな、と思う時があります。

[女.30代.動画チェック]

 

作画監督をすることがありますが、年々原画マンのレベルが下がり続け、作監の負担がどんどん大きくなっているように感じます。

[男.30代.キャラクターデザイン]

 

今一番の問題は平均して原画マンが下手という事で、業界全体の危機です。

[男.40代.不明]

 

100円ショップの「ジョイントA4トレー」が便利です。引き出し部分のない棚です。

[女.20代.原画]

 

本当はここに沢山書きたいこと、訴えたいこと、上層部から受けている脅迫や社内全体の洗脳、うつになって倒れていった仲間達や自分のこと、あまりに理不尽な作業内容、スケジュール、低賃金、タダ働き、他にも助けを求めたい事だらけだったのですが、現段階も3日徹夜、〆切は今日。賃金でいうなら時給50円以下の仕事で死にかけているのでこんな形となってしまいアンケートに答える余裕すらないこの業界の実態が本当に恨めしいです

[女.40代.第二原画]

 

まとめ

 

 以上、アニメーション制作者実態調査2019を見てきた。

 

調査をするのはいいが、調査結果が活かされていないといった声もあるようで、

 

アニメ制作者の待遇改善の道のりはまだまだ長そうだ。

 

http://www.janica.jp/survey/survey2019Report.pdf