第19話「解き放つ時」
「風が強く吹いている」第19話見ました。今回はその感想。
スポンサードリンク
1区 王子
1区を走る王子。ハイジの予想通り今年の箱根駅伝1区はスローペース展開。これによって王子も序盤は集団についていくことができた。結果的にタイム差をそこまで広げずにムサへつなぐことができたのはとても大きい。
10人の中だと王子が一番走るのが下手で初心者で走り続けてきたけど、王子の箱根での走りは本当に素晴らしかった。
主人公と王子
走っている時は何を考えているのだろう、なんて思うけれど王子の場合はハイジとの会話を思い出しているようで、この会話がほんとうによかった。
箱根駅伝直前の練習でハイジに「無理に付き合わせてすまなかったな」と謝られる王子。王子は少し考え込んでからこう返した。
「そんな言葉が聞きたいんじゃないよなあ。ジョーだって花道だって一歩も坂道も三五十五に日向に柔、セナ、吾郎、翼、リョーマ、ダメだきりがないな。僕は主人公も好きだけど彼らを導く人も好きなんです。みんな厳しい。でも当然ですよね。優しくされたいわけじゃない。勝ちたいんだから、選手は。」
作品名でいえば「明日のジョー」、「スラムダンク」、「はじめの一歩」、「弱虫ペダル」、「柔道部物語」、「YAWARA!」、「アイシールド21」、「メジャー」、「キャプテン翼」、「テニスの王子様」。
シルエットもそのキャラクターであるとはっきりわかるぐらい鮮明な描かれ方でぐっときました。
「風が強く吹いている」の主人公はハイジでありカケル。この二人を中心とした作品だから王子は主人公とは言えないけれど、それでも箱根駅伝1区を走る王子は文句なしの主人公でした。王子が言った「導く人」は多くの作品で主人公を勝利、優勝、頂点へと導く。この作品における頂点はイコール優勝ではない。だからこそ王子の走りは走る終えることこそが頂点に見えてきれいだった。
この作品がアニメ化されてここまで面白いのは王子の存在が大きい。彼がいるからこそ物語は面白く彩られた。走るフォームであったり、一番下からの圧倒的成長。もう一度言う。この物語の主人公は王子ではない。だけど第箱根1区を走る王子の姿は主人公でした。感動をありがとう。
2区 ムサ
2区を走るのはムサ。しかし箱根の空気に呑まれペースが速くなってしまう。おいおいどうするのと思っていたら給水をして落ち着きを取り戻す。さすがは2区をまかされたムサ。怒涛の7人抜き14位でジョータにタスキを渡す。
10人の中の一人
ムサが走っている中で描かれるのもやはり「導く人」ハイジとの会話。花の2区をまかされプレッシャーを感じる中、ハイジに「巨大なレースの一部と考えよう」と優しい声をかけてもらうムサ。「気負わず慌てず確実に。君にしかできない仕事だ」とムサができるやり方で走ることを教えるハイジ。これが導く人かとぐっとくる。
1区の王子、そして3区のジョータに挟まれた2区ムサのパートは少しあっさりで穏やかめ。王子の熱い主人公感、そして3区を走るジョータの弟ジョージを想う熱い気持ちがあるためムサのパートは落ち着いた感じで描かれているようにも見える。この落ち着きがあるからこそ王子の走りやジョータの走りの盛り上がりが映える。そしていつも冷静なムサらしい走りもまたここにある。
3区 ジョータ
3区を走るのは双子の兄ジョータ。ジョータの走りはハイジとの回想というよりは双子の弟ジョージとの関係性を描いており、二人がどんな人生を歩んできたかが垣間見える。そして弟に走りの才能があることに気づくジョータ。兄として弟を導こうと決意するジョータは快走を見せる。
走る前にキングと2人で待機している時の足の震えとそれを見たキングのいつも通りの口調は安心感を与える。そうだよな緊張しないわけないよなと思ったりもする。
解き放つ時
19話のサブタイトルになっている「解き放つ時」。これは今まで一緒に歩んできた弟ジョージが走ることの楽しさを知り、そして才能を持つジョージにはカケルの元までいってほしいという願いの元、別々の道を歩む時、そしてそれをするのは兄である自分の役目であるという想いから「解き放つとき」と表現した。
しかし応援に来たハナちゃんの姿を見てむしろ解き放たれたジョータの走りはすさまじい。そして中継所、ジョージにタスキを渡しながら「ハナちゃん俺のこと好きかも」というジョータは箱根での激走による興奮状態と恋愛面での興奮がピークに達してしまいつい言葉が出てしまう。この言葉を聞いたジョータは何を想いどんな走りを見せてくれるのか。次回が楽しみ。
スポンサードリンク