「荒ぶる季節の乙女どもよ。」1話から3話についての話。
「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(通称 荒乙)は文芸部に所属している女子高生たちが性に振り回されていくお話です。そんなアニメ荒乙は水を使った表現がとても素晴らしい。
特にそう感じたのが第2話のラスト。水辺の階段に座り、和紗が泉に対する気持ちに気づく場面でした。
水に映る和紗の気持ち
水に反射して映る和紗の姿、そして泉に対する気持ちに気づいたとき水に映る和紗の姿は風に吹かれ波に流され消えていき、画面は和紗へと移っていく。
水に映る和紗の姿ははっきりとしない、ぼやけた自分の心そのものであり、泉に対する気持ちを明確に意識したとき、そのぼやけた心は消え、はっきりとした本心が現れる。
この一連のシーンを見てから、荒乙は至る所に水の表現を取り入れていることに気づくのでした。
曽根崎り香の涙
同じく第2話で、文芸部部長の曽根崎り香とクラスメイト天城駿とのやり取りでも水を使った場面がある。
クラスメイトにからかわれて一人顔を洗うり香。そこへ天城がやってきて、眼鏡を外したり香の顔を可愛いと褒める。しかしり香は天城に水をぶっかけてしまう。
クラスメイトにからかわれ落ち着くために顔を洗い、落ち着いたかと思えば天城の一言でまた頭の中は混乱状態。そんな曽根崎り香のテンパった感じを蛇口にホースをつけて四方八方に水を飛ばすところが曽根崎さんの混乱を上手く表現している。そして水を出したままでその場を立ち去るのも、混乱は収まらないといった印象を与え曽根崎さんもだいぶ性に振り回されてるなと強く思うシーンでした。
和紗の心情と水
振り返ると第1話では、和紗が泉の家に行き、いっぱいいっぱいの中、泉の家から出て座り込む場面。静寂が漂う中、川が映し出されて川の音だけが聞こえる静かな時間。その後、紫陽花についた一粒の水滴が滴りおちて和紗へと移っていきます。
自然のゆっくりとした時間の中で身を置くことで落ち着きを取り戻す和紗の姿が描かれていました。
第3話では花に水を上げながら、顧問が見つからず文芸部廃部の危機に直面し不安な気持ちと、文芸部にいる自分のことを泉は嫌いではないかという危惧で落ち込む和紗。そんな和紗の心の涙を表すかのように、花から一粒の水滴が落ちる。
和紗たちの性に振り回される話は、感情の上下が激しい作品。感情が揺れ動かされたら自然と涙は出るもの。第1話でも部長のり香が涙を浮かべていました。
そんな性に振り回され涙する乙女たちの青春物語。次回以降もとても楽しみです。
©岡田麿里・絵本奈央・講談社/荒乙製作委員会
荒ぶる季節の乙女どもよ。(1) (週刊少年マガジンコミックス)
- 作者: 岡田麿里,絵本奈央
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/04/07
- メディア: Kindle版
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