2024年冬アニメの「ダンダダン」。
現在9話まで放送、視聴していますが、とても色彩が良い。今回はそんなダンダダンの色彩について。
まずは第一話「それって恋のはじまりじゃんよ」。
オカルンがまず出会うターボババアの場面では「赤一色」、そしてモモが出会うセルポ星人の場面は「青一色」で描かれています。
それぞれのシーンが現実的な色彩から離れ一色に染められることで、非現実的で異質な雰囲気を際立たせています。視覚的なインパクトがとても強いシーンとなっています。
そしてセルポ星人とモモのところにオカルンとターボババが乱入するシーンでは青と赤の二色が混在することで、より異質な空間が演出され、アニメ「ダンダダン」が宇宙人、妖怪といった異質な存在が登場する作品であることがよく分かる第一話だったように感じます。
また第一話ではモモがセルポ星人の影響で超能力に目覚めるシーンは青というより「青緑」に近い色彩で描かれたり、無事セルポ星人のUFOから脱出したところは「白黒のモノトーン」で異質ではないけれど、しかし現実の世界でもないこの世とあの世の境目のような色彩使いも面白かったです。
白黒のモノトーンは第二話「それって宇宙人じゃね」に登場する宇宙人フラットウッズモンスターとの対決でも使われる色彩でした。
フラットウッズモンスターとの対決はモモの家である神社で行われており、この世とあの世を結ぶ場所であることや空間に閉じ込められて薄暗いことから白黒のモノトーンで描かれていると考えると面白いです。
第四話「ターボババアをぶっ飛ばそう」ではターボババアとの直接対決。第一話から同様にターボババア関係のシーンは赤を基調とした色彩で描かれており、最終局面では覚醒したモモの「青緑と赤」の対比が鮮やかで迫力がありました。
ターボババアとの戦いはBGMで「ウィリアム・テル序曲」と「天国と地獄」が流れているのも話題になっていましたね。
第六話「ヤベー女がきた」、第七話「優しい世界へ」では新たな妖怪アクロバティックさらさらが登場しました。
アクロバティックさらさらは公式サイトによると「赤いワンピース」が特徴と記載されています。ターボババアと同じ妖怪であることから赤色を基調とした色彩作りをされていますが、ターボババアはThe赤に対してアクロバティックさらさらはピンク寄りの赤色で描かれています。アイラのエピソードであることから、髪色がピンクのアイラに寄せた色使いになっていますね。
また、アクロバティックさらさらとの別れのシーンは「白」を基調に描かれました。
白は純粋さや静寂といったイメージを持ち、今までピンクの濃い色彩で描かれていた作品から色を排除することでより感動的なシーンに感じさせてくれます。
そして第八話「なんかモヤモヤするじゃんよ」、第九話「合体! セルポドーバーデーモンネッシー!」では、「黄一色」と「緑一色」のシーンが描かれます。
第八話に登場するのはシャコ星人ことドーバーデーモン。セルポ星人が連れて来た仲間?であり、セルポ星人関係なら「青」かと思われますが、シャコ星人のモデルが「カネゴン」であったり、元気注入される時の「リゲイン」のパッケージが黄色であることから黄色が使われたと思います。
第九話ではセルポ星人とシャコ星人、そして誰彼構わず攻撃するネッシーが合体し水中の中で戦うことになります。水中戦は緑一色で描かれ場面転換が分かりやすかったです。ではなぜ緑だったのでしょう。
第八話で初めてネッシーとモモが対峙する場面ではネッシーの身体に黄色い光を走らせ、緑色のビームを放っていました。ネッシーは宇宙人や妖怪というより怪獣のイメージがあることやネス湖にいる自然の中にいる生物という点から「緑色」を持ってきたのと考えることができます。
また、シャコ星人の「黄色」とセルポ星人の「青色」を混ぜると「緑色」になります。作中でシャコ星人とセルポ星人、そしてネッシーは合体します。そういった点からも「緑色」を使うのはごく自然的なことかもしれません。
赤、青、黄、緑といった原色を使う場面の色彩が持つ力が良く出ていますし、モノトーンで異質な雰囲気や寂しい空間作りなどアニメ「ダンダダン」は色使いがとても丁寧で面白い作品です。
第10話以降もどのような色彩で楽しませてくれるのか、期待大です。